他国から「働きすぎ」というイメージを持たれている日本。厚生労働省による「平成31年就労条件総合調査」によると、日本の有給取得率は52.4%という結果が出ています。 ここ10年を振り返ってみても、50%前後とほぼ横ばいで推移。一方、他国には100%を誇る国があり、世界的に見ても働きすぎのイメージどおりであることがわかります。 旅行予約サイトでおなじみのエクスペディアが世界19カ国を対象した調査によると、日本の有給休暇の取得率は19カ国中最下位。 日本の次に取得率が低いオーストラリアでも70%であり、約20%の開きがあることから日本は突出して取得率が低いことがわかります。ちなみに、有給取得率100%を誇るのは、ブラジルやスペイン、シンガポールなどです。 日本では、働き方改革の一貫としてまずは70%の有給休暇の取得率を目指すために、「有給休暇義務化」を施行しました。どのような制度なのか、次項にてご紹介します。
有給休暇義務化は、働き方改革関連法における労働基準法が改正され施行された制度です。「年に10日以上の有給休暇があるすべての労働者に対し、有給休暇を付与した日から1年以内に5日消化すること」を義務付けられています。
2019年4月からスタートしており、「すべての労働者」との記載があるとおり、社員に限らず条件を満たしていればパートやアルバイトといった雇用形態の労働者も対象となります。
詳しい対象者は以下のとおりです。
・入社してから6ヶ月継続して働いている正社員、またはフルタイムの契約社員
・入社してから6ヶ月継続して働いており、週に30時間以上勤務しているパート、またはアルバイト
・入社してから3年以上継続して働いており、週に4日出勤しているパート、またはアルバイト
・入社してから5年半以上継続して働いており、週に3日出勤しているパート、またはアルバイト
※いずれも出勤率8割以上を満たす労働者に限る
※週に2日出勤しているパート・アルバイトの場合は、最大でも7日しか有給休暇が付与されず、10日に満たないため、有給休暇義務化の対象外となる
ちなみに、いくら優良企業であっても1人でも有給休暇を取得できていない労働者がいれば罰則対象です。
労働基準法第120条に抵触し、労働者1人につき30万円の罰金が処されます。
計画的付与とは、使用者側(会社)と労働者代表との労使協定により、使用者が労働者の有給休暇取得日を計画的に割り振ることができる制度です。 有給休暇の消化率が低い企業や従業員が多い企業などに、計画的付与制度は効果的だとされています。 割り振れる日数は5日を超えた残りの日数なので、5日間については労働者が自由に取得日を設定できるようにしなければなりません。 使用者側には事業を計画的に運用しやすくなる、労働者側には罪悪感なく休暇を取得できるなど、両者にメリットがある制度です。 制度の活用方法としてまず挙げられるのが、全体への「一斉付与」。例えば、夏季休暇と土日祝日の間に出勤日がある場合、その出勤日を有給休暇の計画的付与として連続休暇を実現する方法です。 次に挙げられるのが、「交替制付与」。部署または事業部ごとに、業務量の少ない時期などを選んで休みを交替で付与する方法です。 一斉付与や交替制付与が難しい場合は、「個人別付与」という方法もあります。ゴールデンウィークや夏季休暇、年末年始休暇などのほか、結婚記念日や誕生日など労働者の個人的な記念日を充てるケースも中にはあります。 最後は「ブリッジホリデー」。暦上、休日が飛び石となっている年に計画的付与を活用し、連休を設ける方法です。 有給休暇は、ワークライフバランス実現のために欠かせない制度です。自身の権利を正しく理解し、うまく活用していきましょう。
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